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大島 武; 佐藤 隆博; 及川 将一; 小野田 忍; 菱木 繁臣; 平尾 敏雄; 神谷 富裕; 横山 琢郎*; 坂本 愛理*; 田中 礼三郎*; et al.
Materials Science Forum, 556-557, p.913 - 916, 2007/00
被引用回数:4 パーセンタイル:76.81(Materials Science, Ceramics)炭化ケイ素(SiC)を耐放射線性の粒子検出器へ応用する研究の一環として、六方晶SiC(6H-SiC)npダイオード中に金(Au)イオンが入射したときの電荷収集効率(CCE)を調べた。試料には、p型エピタキシャル膜上にリン注入によりn層を作製したnpダイオードを用い、12MeV-Auイオン入射によるイオン誘起過渡電流(TIBIC)測定を行った。TIBICシグナルを時間積分することで収集電荷量を求めたところ0.10pCであった。一方、Auイオン入射により発生する電荷量を見積もったところ0.195pCと求められ、CCEが約50%であることが明らかとなった。イオン入射によりSiC中に発生する電子-正孔対の濃度を計算したところ、CCEが100%となる酸素やシリコンイオン入射の場合に比べ約二桁高濃度であることが見いだされた。このことより、Auイオン入射では非常に高濃度の電子-正孔対(プラズマ)が発生するためにプラズマ中で電子-正孔対が再結合してしまい、その結果、CCEが低下することが推測される。
宮下 敦巳; 大沼 敏治*; 岩沢 美佐子*; 土田 秀一*; 吉川 正人
Materials Science Forum, 556-557, p.521 - 524, 2007/00
SiCデバイスは宇宙や原子炉等の極限環境下で動作する素子として期待されている。しかしながら現状のSiCデバイスは理論的に予想されている性能を発揮しているとは言いがたい。その理由はSiCとその酸化膜であるSiOとの界面に存在する欠陥が素子の性能を低下させているからだと考えられる。実デバイスにある界面欠陥構造を計算機シミュレーションで再現しようとするなら、現実の界面にあるようなアモルファスSiO/SiCの構造を計算機上に再現することが非常に重要となってくる。われわれは444原子からなる結晶/結晶界面構造を計算機上に構築し、それに対して加熱・急冷計算を行うことでアモルファスSiO/SiC構造を生成した。加熱温度,加熱時間,急冷速度はそれぞれ4000K, 3ps, -1000K/psである。得られた界面構造のSiO領域はバルクのアモルファスSiO構造とよく適合し、界面におけるダングリングボンド欠陥も消滅していることが確かめられた。
大沼 敏治*; 宮下 敦巳; 岩沢 美佐子*; 吉川 正人; 土田 秀一*
Materials Science Forum, 556-557, p.615 - 620, 2007/00
平面波近似とスーパーセルモデルを用い、SiO/4H-SiC(0001)酸化過程の第一原理分子動力学計算による動的シミュレーションを行った。反応の初期構造の生成には加熱・急冷法を用いた。この初期構造は界面ダングリングボンドのないSiO/SiC構造である。酸化反応の引き金とするために、界面付近のSiC層に炭素空孔を導入した。酸化反応シミュレーションは界面付近の空隙に酸素分子を一つずつ置いて行くことによって行った。酸化反応シミュレーションは2500Kの下で行った。酸素分子は解離しSiO中のSi原子と結合を組み、また、界面付近にいるSiC層中のSi原子も酸化されSiO層を形成した。界面欠陥の候補の一つと考えられている炭素クラスタ構造が界面に形成され、さらに、酸素分子は炭素クラスターと反応しCO分子を形成した。
大島 武; 徳永 興公*; 一色 正彦*; 笹島 文雄; 伊藤 久義
Materials Science Forum, 556-557, p.457 - 460, 2007/00
炭化ケイ素(SiC)基板作製時に意図せずに混入する微量不純物を放射化分析を用いて評価した。昇華法により作製された市販の高品質高抵抗六方晶(4H)SiC及び化学気相成長法により作製された市販のn型立方晶(3C)SiCを試料として用いた。試料表面の汚染を取り除くために有機洗浄(アセトン,エタノール)及び酸(硝酸,フッ酸)処理を行った後に、原子力機構JRR-3にて中性子照射(1時間又は100時間)を行った。k0法により基板に含まれる微量不純物を評価した結果、4H-SiC, 3C-SiCともに、亜鉛,砒素,臭素,モリブデン,アンチモンが含まれることが判明した。また、これ以外にも、4H-SiCからは鉄,タンタル,タングステン,金が、3C-SiCからはランタンが検出された。
Lee, K. K.*; Laube, M.*; 大島 武; 伊藤 久義; Pensl, G.*
Materials Science Forum, 556-557, p.791 - 794, 2007/00
炭化ケイ素(SiC)金属-酸化膜-半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)のチャンネル移動度と界面準位の関係をホール効果及びアドミッタンス測定を用いて調べた。水素燃焼酸化によりゲート酸化膜を作製した(Pyro)nチャンネル6H-SiC MOSFETと乾燥酸素での酸化に加え800Cでの水蒸気処理によりゲート酸化膜を作製した(Annealed)MOSFETを作製した。MOSFETの電流-電圧(I-V)測定より求めた有効チャンネル移動度は、それぞれ30及び75cm/Vsであった。一方、ホール効果によりチャンネルに流れるキャリアの移動度を調べたところ両者とも85cm/Vsであり、Annealed MOSFETでは良い一致を示したがPyro MOSFETは値が異なった。さらに、アドミッタンス測定を行った結果、Annealed MOSFETに比べPyro MOSFETは、伝導帯付近の界面準位濃度が二倍以上高いことが見いだされた。以上から、Pyro MOSFETは界面準位によりキャリアが捕獲されるために、実際にチャンネルに流れるキャリア濃度がI-V特性から有効チャンネル移動度を導出する際に用いる理想的なキャリア濃度より低くなっており、その結果、I-V特性から導出されるチャンネル移動度が低く見積もられたと結論できる。
Pensl, G.*; Schmid, F.*; Reshanov, S.*; Weber, H. B.*; Bockstedte, M.*; Mattausch, A.*; Pankratov, O.*; 大島 武; 伊藤 久義
Materials Science Forum, 556-557, p.307 - 312, 2007/00
炭化ケイ素(SiC)半導体中の窒素(N)ドナーの電気的活性化を阻害する欠陥を同定するために、N注入及び、電子線照射したp型六方晶(4H)SiCのホール効果及びDLTS(Deep Level Transient Spectroscopy)測定を行った。電子線は炭素(C)のみがはじき出される200keVのエネルギーでの照射を行った。N注入試料の熱処理温度とキャリア濃度の関係を調べたところ、1450C以上の熱処理によりNドナーの電気的活性化率が低下し始めることが見いだされた。DLTS測定の結果、同熱処理温度でZ/Z中心と呼ばれる欠陥が消失すること、さらに電子線照射試料では新たにP中心と呼ばれる欠陥が発生し始めることが判明した。さらに、分子動力学を考慮した理論解析の結果、C空孔が存在するSiCでは複数のC空孔とSi空孔の複合欠陥(V)-V(x=14)が安定であること、この状態でNが結晶中に存在する場合にはC格子位置を置換したN(N)が4つとVの複合欠陥である(N)-Vが最も安定であることが導出された。以上より、(V)-VがP中心の起源であること、Nの電気的活性化率の低下は(N)-Vによることを提案した。
松浦 秀治*; 蓑原 伸正*; 稲川 祐介*; 高橋 美雪*; 大島 武; 伊藤 久義
Materials Science Forum, 556-557, p.379 - 382, 2007/00
アルミ(Al)添加された炭化ケイ素(SiC)中の深いアクセプタ準位の起源を明らかにすることを目的に、Al添加六方晶(4H)SiCに炭素(C)元素のみがはじき出される200keVの電子線を照射し、ホール効果測定により正孔濃度の変化を調べた。その結果、室温での正孔濃度は電子線照射量の増加とともに減少するが、350C以上の温度では電子線照射の有無によらず正孔濃度は一定となることが判明した。さらに、正孔濃度の温度依存性を解析したところAlアクセプタのエネルギー準位である200meVに加え370meVの深いアクセプタ準位が観測された。また、310/cmの照射量までは電子線の照射量の増加とともにAlアクセプタ濃度は減少し、深いアクセプタ濃度が増加するが、それ以上の照射量では深いアクセプタ濃度も若干ではあるが減少することが見いだされた。以上の結果より、深いアクセプタ準位に関しては、C空孔(V)とAlが関与した複合欠陥であること,結晶損傷が大きくなると異なる構造を有する欠陥へ変化することが推測される。
梅田 享英*; 大島 武; 森下 憲雄; 伊藤 久義; 磯谷 順一*
Materials Science Forum, 556-557, p.453 - 456, 2007/00
炭化ケイ素(SiC)中のシリコン格子置換位置炭素(C)と炭素空孔()の複合欠陥(C-)は、理論計算より型中で非常に安定であると予測されているが、実験的にはこれまで型や半絶縁基板のみでしか観測されていない。型SiCのC-Vの存在を確認するために、型六方晶(4)SiCの電子常磁性共鳴(EPR)測定を行った。800Cにて3MeV電子線を照射することで欠陥を導入した型4-SiCのEPR測定を行ったところ、これまで報告されていない9と10という新たなシグナルを観測した。9及び10シグナルの角度依存性を測定したところ、それぞれ及び対称を示すことが明らかとなった。さらに、Cの超微細相互作用を詳細に解析することで、9及び10は、それぞれ、正に帯電したc軸方向及びc面内のC-に起因するシグナルであることを同定した。